プロジェクト部blog@愛知県自閉症協会・つぼみの会

〜愛知県自閉症協会・つぼみの会プロジェクト部のブログ〜

【開催報告】『本人のベストインタレスト?〜親、支援者は本当にわかっているの?』

2015年1月11日に開催した『本人のベストインタレスト?〜親、支援者は本当にわかっているの?』の報告記事です。(告知記事はこちら
 
プロジェクト部は、権利擁護を活動の柱のひとつとしています。
2014年6月に開催した「権利擁護入門勉強会」では、「権利侵害が明白な事例」を題材に、救済のために現在どんな手段があるのかを具体的に学ぶことで、権利擁護に関するイメージをつかみました。

一方で、6月の勉強会で講師の又村あおいさんが提示されていたように、「明白な権利侵害からの回復」だけではなく「日常の中で当たり前のように無視・軽視されてしまっている本来持っている権利の実現」という方向の権利擁護も私たちは意識的に学ぶ必要があると考えました。

そこで、今回のテーマ「本人のベストインタレスト」を取り上げました。
人が、自分の人生を生きるために必要なものは何でしょうか? 今回は、こんな根源的な問いから出発しました。本人の主体性を実現するためには、「本人の意思決定」が不可欠です。しかし、「本人の意思」がわからないとき、あるいは意思を貫くことの害が明白なとき、どう支援したらよいのでしょうか?
本人のベストインタレスト(本人にとっての最善の利益)の実現について、現状の制度と実践のお話を聞き、本人と家族と支援者みんなで考えました。

今回の報告は、スタッフとして企画運営に関わったプロジェクト部メンバーのお二人にお願いをしました。【カイパパ】

■寄り添いきる覚悟…              プロジェクト部 辻村由貴

ベストインタレスト? 権利擁護? 意思決定はなんとなく必要なことは分かる。そんな状態で参加したセミナー。母・支援者、両方の立場を持っている自分が関わっている1人1人に何ができるのか? それを学びたい思いで参加しました。
 
野崎さんが実際に支援されている事例のお話、又村さんからの障害者権利条約締結の背景から意思決定支援が重視されるようになったことについてのお話をお聞きしました。

「誰しも当たり前に人生(進路・余暇)の選択ができる権利がある。だからその権利を守る必要がある。そのために意思決定支援があり、寄り添う必要がある」という当たり前だけど、つい忘れてしまいそうになる大切なことを、再確認できました。
また、普段本人の言葉に耳を傾けず、自分の思いばかりぶつけてしまい、相手の思いに気づけていなかったのでは…と反省しました。
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最後のまとめで、「寄り添いきってください」と又村さんが言われた言葉が1番印象深く残っています。寄り添っているつもりでも、寄り添いきる覚悟はなかったなと。「寄り添いきる」の言葉で、本人が決めたことを支える支援・情報を提供することで選択を共に考え寄り添う支援、なにより相手の視点にたつことが大事だと気づけました。

難しい内容で、私では全てを理解することは正直難しいのですが、勇気を出して参加してみることで、新しい気づきや反省が生まれました。今後も可愛い我が子たち、関わらせて頂いてる利用者さんたちの幸せのお手伝いのために、いろいろなセミナーを受講したいと思っています。プロジェクト部に参加させてもらって良かったと感じた1日でした。

■ここからスタートし、何度でも立ち返りたい    プロジェクト部 上原悦子

私は、NPOやボランティア活動にたずさわって10年近くなりますが、発達障害との直接の関わりは、ご縁あってこのプロジェクト部に参加するようになってからです。ひよっこの支援者である私にとって、今回のセミナーでは、ここからスタートし、何度でも立ち返りたい視点を得ることができました。

第1部では、野崎さんからは事例中心に本人の意思決定とは?という投げかけを、又村さんからは障害者権利条約の紹介から始まり、日本国内での意思決定支援の位置づけ(どう制度に位置づけるべきなのかはこれからだという投げかけも含めて)についてお話しいただきました。
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「人は誰でも、怒り、憎しみ、悲しみ、喜び、悲しみなど、どんな感情を持ってもいいんです」「障害があろうがなかろうが、その人の人生はその人本人のもの。その主役の座は、何があっても、決して奪われてはならないものです。」
とは、野崎さんが最後に言ってみえた言葉ですが、ベストインタレストを考える上で忘れてはいけない視点だなと感じました。

親であれ、支援者であれ、本人にはなれない。違う人格、違う身体だから、違う感情、考えがあって当たり前。本人が主役であるためにはどうすればいいか---とてもシンプルだけど、ここからスタートし、何度でも立ち返りたいベースキャンプのような視点です。

もう一つ印象深いのが、第2部のワークショップ。ワークショップは、参加者から話し合いたいテーマを出し、そのテーマに集まったメンバーと話し合いをする「この指とまれ」方式で行いました。発表者の方が、テーマを出すときには遠慮がちだったのが、最後の発表ではこんなことを話しましたとすっきりとした顔で話されていたのが印象的でした。スタッフ冥利に尽きる瞬間でした。

講師のお二人、ありがとうございました。また次回の勉強会(あるのかな?)を楽しみにしています。そして、スタッフ参加も楽しいですのでオススメです^^

【感想】『医療と上手に付き合う方法~自閉症・発達障害に対して医療は何ができるの?』開催レポート(3)

医療セミナーを終えて。
「いろいろな時や想いを乗り越えてここまできたんだ」というしっかりとした実感がこの胸にある。うまく表現できないが、今の思いをつづってみる。

今回のセミナーの肝は、参加者からいただいた質問を、わたしを通して、聞く、「親と医者との対話形式」になっているところだった。

事前質問やふせんに質問を書いてもらった。その場で直接口頭での質問にしなかったのは、極めてプライベートなことを、みんなの前で発表することを避けるため。

わたしも自閉症の子を持つ親だから、親の立場を代弁する形で問いかけをした。
自閉症の原因のことや治療薬のこと。胸がざわざわする思いを抱えながら、みんなの質問に、わたしも知りたい気持ちを重ねて。

意外だったのは、もっと感情が揺れるかもしれないと予想していたのが、思ったよりもじぶんが平静だったことだ。
昔わたしは怒っていた。無力な医療に対して。福祉に対して。教育に対して。

今は怒ってはいない。
深いところで、絶望している。
それと同時に、「どの人も最善を尽くしている(だけどうまくいかない)」と思っている。
じぶんが何を努力して挫折してきたかを知っている。怒ってもどうにもならない。

僕は、何度も会場の参加者の表情を見回していた。本当に真剣な顔。心配をかかえた悲しげな顔をみんなしていた。僕は鏡を見ているような気分だった。

救いを求めたが、救いは与えられなかった。

微力なんだ。ぼくらは。
ひとりの人間がしあわせになるために必要なことは、万人の努力によって、ようやく見つかるかもしれない、かすかな、もろく壊れやすいもの。

医療は、必ず敗れる永遠の挑戦だ。少しでも、その人らしく暮らせるための努力。積み重ねてきたもの。

LIFEが、短すぎるんだ。不完全で欠けた器から、サラサラとこぼれつづける。直したり、手で押さえても、止められない。

じぶんでは、どうにもできない。そうわかっている絶望と。
できることを持ち寄って、つなぎ合わせて、少しのハッピーをつくりだす喜びと。

そのバランスを、サーカスの熟練した綱渡りのように、右に左にと取れるようになってきた人びと、いろいろな時や想いを乗り越えてここまできた、「同志」という存在を、あの場にいた人たちのなかに見出していたんだ、僕は。

ひとりじゃない、というのはこういうことだ。
そこで、その場で、言葉は交わさなくても、「同じ」苦しみをへて、「今の場所」にいる、「まだ苦しみは続く」、そのことを互いに知りながら。
空

「お達者で」

心の中で言いあって別れる。
無言で励まし合って。

以上で、11月16日に開催した愛知県自閉症協会・つぼみの会主催医療セミナー『医療と上手に付き合う方法~自閉症・発達障害に対して医療は何ができるの?』開催レポートを終わります。

内容については以下をご覧ください。

【報告】『医療と上手に付き合う方法~自閉症・発達障害に対して医療は何ができるの?』開催レポート(1)
【報告】『医療と上手に付き合う方法~自閉症・発達障害に対して医療は何ができるの?』開催レポート(2)
【感想】『医療と上手に付き合う方法~自閉症・発達障害に対して医療は何ができるの?』開催レポート(3)←今回

【報告】『医療と上手に付き合う方法~自閉症・発達障害に対して医療は何ができるの?』開催レポート(2)

11月16日に開催した愛知県自閉症協会・つぼみの会主催医療セミナー。
自閉症、発達障害の原因から始まり、新しい診断方法の研究や新薬開発の手順、そして現在の薬物による対処療法など、参加者のみなさんからの具体的な質問に答えるかたちで、縦横無尽に話し合いました。
3回に分けてレポートします。

はじめに吉川先生から「話題提供」をしていただいた後、参加者からの質問をカイパパが聴き手となって対談スタイルでお聞きしていく2部構成で行いました。
内容のすべてを報告することは手に余るので、不完全ではありますが、どんな話題が出たのかだけでもお伝えできたらと思います。文責はカイパパにあります。

今回は第2回。対談スタイルで進めた「聞きたい、知りたい医療Q&A」を報告します。
第1回レポートはこちら

愛知県自閉症協会・つぼみの会主催医療セミナー
『医療と上手に付き合う方法~自閉症・発達障害に対して医療は何ができるの?』開催レポート(2)

対談


■パート2 「聞きたい、知りたい医療Q&A」 吉川徹先生 (聴き手:カイパパ)
 事前にいただいた質問と会場からの質問を踏まえて、対談スタイルで進めました。内容を抜粋して紹介します。

(1)自閉症の原因 「話題提供」を補う形でのQA
 Q:「自閉症の原因は遺伝子にある」という説明だったが、親としては複雑な気持ちになる。それは確かなことなのか。
 A:「自閉症の発症には遺伝子が関与している」ということについては、自閉症発症に関与している可能性のある遺伝子として、100~1000以上ありそうだという研究が出てきている。
 ただし、<b>「発症に遺伝子が関与している」ことと、「親から遺伝する」ことは同じではない</b>ことに注意が必要。どういうことかというと──
・自閉症は、遺伝子の影響は強く受けている。
両親からの遺伝子の「組み合わせ」でなりやすさが決まる。
しかし、突然変異は多い。(意外なほど、遺伝子はたくさんの変異(染色体変異、コピー数変異、ヌクレオチドの変異など)を含んでいる)環境の影響を受けている。(受精から周産期、生後にいたるまで子どもの遺伝子の働きなどへ影響を与える様々な要因がある)
つまり、いわゆる「遺伝病」と呼ばれる病気のように、<(どちらか一方の)親の遺伝子のなかに決定的な因子があってそれが自閉症を引き起こす>というものではないと考えられている。

【カイパパのメモ】
正直言って、「自閉症の発症には遺伝子が関与している」ということは、非常にデリケートで、あまり話題にしたくないことです。

しかし、このことは実は「自閉症の原因は、育て方によるものではなく、先天的なもの」と説明したときの暗黙の前提となっているのです。わたしたちは、それを薄々感じつつ、あえて「暗黙」にしています。その理由は、「悪い血はどっちの血筋だ」という犯人探しにつながるからだと思います。
今回のお話のなかで、「発症に遺伝子が関与している」ことと「親から遺伝する」ことは同じではないという言葉が印象的でした。また、両親からの遺伝子の「組み合わせ」でなりやすさが決まるということも、ある意味、夫婦共通の「救い」であると感じました。子どもの障害が原因で「どっちが悪い」と仲違いしたり、親戚との関係を悪くしたりすることは、科学的にもナンセンスだということです。(「組み合わせ」なんだから。この子は二人の子なんだから。)

「健康に産んでやりたかった」という思いは、誰にでもあります。どんな説明が得られたとしても、結果的に障害をもって生まれたことで、親が自分たちを責めてしまうことは避けがたいことでもあります。
「あなたのせいではない」とどれだけ言われたとしても、慰めにはならず、納得も出来ないかもしれません。
それでも、わたしは、周りのひとたちは「あなたのせいではない」と語りかけ続けてほしいと願います。本当に、小さな、ささいなきっかけが、影響を及ぼしていたとしても、その影響の本当のところは誰にもわからないし、わかっていたとしても避けがたいことだった──
遺伝子はとても傷つきやすく、「常に」といっていいほど、変異を含んでいる。それが、人間なんですよね。
生まれてきたこと自体が、かけがえのない、パーフェクトな人間だっていうことの証しなんだよ!
わたしはそう伝えたいです。

(参考)
2014年5月30日開催「自閉症と遺伝」講演会と討論会の記事が、福祉新聞のサイトに掲載されています。
わかりやすいまとめで、非常に参考になります。

・【前編】自閉症の遺伝子診断は幻想 フランス分子生物学者が講演
http://www.fukushishimbun.co.jp/topics/5128

(2)画像診断 「話題提供」を補う形でのQA
 現在、MRI、CT(形を見る)、fMRI、NIRS、PET(働きを見る) などの画像診断で、自閉症を診断できるか研究がされている。
 Q:診断に使える実用的なものになりそうか?
 A:自閉症と診断されている群と自閉症ではないとされる対照群との、画像を比較することで、診断をつけられないかを研究している。しかし、例えば平均値どうしを比べて統計学的有意差があるとわかっても、個別具体的に比較をした場合に、対照群と「重なる部分」がどうしてもある。おそらくは画像診断単独で、確定診断をつけられるようにはならず、組み合わせて活用されるようにはなるかもしれない。(下図参照)
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 Q:なんのために、画像診断を研究しているのか?
 A:診断という観点のみから言えば、自閉症の診断ができる医師の養成に大変なコストがかかっている。画像診断のような、生物学的診断指標ができれば、専門的養成がなくても診断をつけられるようになるメリットは大きい。

(3)オキシトシン 「話題提供」を補う形でのQA
(第1回レポートから再掲)
・話題になっているオキシトシンは、身体の中にあるホルモンのひとつ。既に製品化された薬があり、子宮収縮薬や陣痛促進剤として用いられている。
・現在、東京大学、金沢大学、名古屋大学、福井大学が共同で行っている「自閉スペクトラム症へのオキシトシン経鼻スプレーの臨床試験」は、薬の「治験」でいうと第2相「少数の患者を対象に効果、安全性を調べる」段階に似ているが、「治験」そのものではない。
・オキシトシンに期待されている効果はこちらのページ参照

(4)薬
このパートの報告は、わたしの手に余るので項目と感想だけ記します。

 ・一般論→具体の抗精神薬→症例(感情アップダウン)→副作用
 ・薬を減らす、やめるプロセス、注意点
 ・個別質問(使用している薬の違い)
 ・てんかん治療との関係
 ・身体系の治療薬との関係、服薬管理

【カイパパメモ】
今回の質問では「薬」に関するものが一番多く、時間もかけて回答しました。

家族の立場の参加者が多く、日常のなかで悩まれていることが質問としてあがりました。
・「薬を常用していることの悪影響」を心配されている質問が多かった。
・「薬を減らしたい」「やめたい」という質問に対して、吉川先生は、「本人の状態がよい、やめどきと思われる時には、医師に相談の上、減らすところから始めてほしい。ただ、そのときの変化は、薬の種類にもよるが、せめて2週間ぐらい観察して結論を出してほしい。1日や2日だと、薬をやめた結果なのか他の要因なのか判別ができないから」とアドバイスがありました。

(5)全般~医療との付き合い方
 ・自閉症の診断のタイミング(親への働きかけ)
 ・発達障害に詳しい医療機関の情報はどこにあるか?
 (カイパパから)「愛知県・名古屋市発達障害医療マップ」が参考としてあります。
 (吉川医師)口コミが一番あてになるでしょう。
 
(6)アドバイス
 ・効果が厳密に証明されていない「療法」が、全て効果が無いかというとそうとも言い切れない。が、効果が確かめられていないものは副作用も厳密には確かめられていないことに注意が必要。
 <標準的ではない療法を試す際に考慮すべき3つの基準>
 1 安全性が確かめられている。あるいは理屈で考えてどう考えても危険でないもの。
 2 値段が高くない。本人や家族の負担が大きくない。
 3 標準的療法を受けることを妨げないものであること。

──終了予定を10分延長してなお時間が足りなくて、今回お答えすることができなかった質問もありました。ごめんなさい。

アンケートには、日常生活のなかで、「医療について知りたいけれど、質問する機会がない」と書かれているかたが複数いました。「次回も医療セミナーを企画したら参加したいですか?」という質問に、「参加したい」という方がとても多かったです。

この企画は、ニーズがありますね。医療とよりよい関係を築いていくために。来年も継続して実施していきたいです。

次回は、セミナーを終えてカイパパが感じたことを書きます。

<全3回連載>
【報告】『医療と上手に付き合う方法~自閉症・発達障害に対して医療は何ができるの?』開催レポート(1)
【報告】『医療と上手に付き合う方法~自閉症・発達障害に対して医療は何ができるの?』開催レポート(2)←今回
【感想】『医療と上手に付き合う方法~自閉症・発達障害に対して医療は何ができるの?』開催レポート(3)

【報告】『医療と上手に付き合う方法~自閉症・発達障害に対して医療は何ができるの?』開催レポート(1)

11月16日に愛知県自閉症協会主催の医療セミナーを開催しました。このセミナーは、プロジェクト部でやりたいと、1月からあたためていた企画。
10数年来の友人、吉川 徹医師と2人で食事しながらの会話がいつもすごく刺激的で「これはひとりじめはもったいない。いつかみんなにも聴かせたい」と思っていたことがついに実現しました。

自閉症、発達障害の原因から始まり、新しい診断方法の研究や新薬開発の手順、そして現在の薬物による対処療法など、参加者のみなさんからの具体的な質問に答えるかたちで、縦横無尽に話し合いました。
3回に分けてレポートします♪

第1回は、吉川医師による「話題提供」についてです。

愛知県自閉症協会・つぼみの会主催医療セミナー
『医療と上手に付き合う方法~自閉症・発達障害に対して医療は何ができるの?』開催レポート(1)
<概要>
・日時:2014年11月16日(日)午後2時から4時
・会場:なごや人権啓発センター(ソレイユプラザなごや)研修室
・講師:吉川徹 氏(児童精神科医、愛知県心身障害者コロニー中央病院)
・聴き手:カイパパ(愛知県自閉症協会・つぼみの会プロジェクト部)

<開催の趣旨>
「日々の生活で困っている「症状」を軽くする薬があるなら試してみたい。本人にとって、苦しみを取り除けるものがあるなら…」とニュースに接するたび、心がざわざわします。しかし、ニュースで報じられているような治療法が、実際に使えるようになるのはいつなのでしょう?
現在、医療が、薬にかぎらず、自閉症・発達障害に対して「できていること」は何なのでしょうか? 近い将来「期待されていること」は何か? 健康に関して気をつけなければいけないことは何か? そんな素朴な疑問をみんなで出し合い、吉川徹医師に答えていただきます。そして、今私たちが医療と上手に付き合う方法を見出したいと思います。

<セミナーの構成>
1 話題提供「自閉症・発達障害に対して医療は何ができるの?」 吉川徹先生
2「聞きたい、知りたい医療Q&A」 吉川徹先生 聴き手:カイパパ
はじめに吉川先生から「話題提供」をしていただいた後、参加者からの質問をカイパパが聴き手となって対談スタイルでお聞きしていく2部構成です。
内容のすべてを報告することは手に余るので、どんな話題が出たのかだけでもお伝えできたらと思います。文責はカイパパにあります。
話題提供


■パート1 話題提供「自閉症・発達障害に対して医療は何ができるの?」
(1)診断をめぐって
 ・診断基準を使う目的
 ・「自閉スペクトラム症」の構造
   レット症候群を例に⇒遺伝子で原因がわかったもの。自閉症から切り分けられていく。
 ・画像による診断
 ・遺伝子による診断

<カイパパのメモ>
自閉症の原因は、「これらが関連していると思われる」レベルしかわかっていない。関係あるかも?と言われている遺伝子が100~1000くらいある。しかも、それが「組み合わせ」だとしたら、ものすごい数だ。それを遺伝子検査で判別することができるようになるのだろうか?
自閉症は、原因で定義された障害ではなく、症状群として診断基準に当てはまれば「自閉症」と診断されている。
「原因と症状」の対になった関係が判明した場合⇒「自閉スペクトラム症」とは別の「XXX症候群」と切り分けられていく。
それでも最後まで、原因がわからない「オリジナル自閉症(のようなもの)」が残るだろう。

【2014.11.23追記】
「×××症候群」のところがわかりにくいので、情報を補足しておきます。
当日少しご紹介があったのですが、SFARI Gene というサイトがあります。自閉症に関連しそうと考えられている遺伝子」のより専門的な情報について参考になります(英語サイト)。
そこに gene scoreing というページがあって、自閉症に関連しそうな遺伝子を、推測されている関連の強さに従って分類しています。この中で syndromic として挙げられているものなどが、すでに「×××症候群」として、切り分けられているグループ、あるいはその候補と言えるそうです。──が、英語が読めても、この部分は暗号のようで解説なしでは理解は難しいです。医師、研究者向けですね。

(2)治療をめぐって
・「対症療法」と「根治療法」⇒風邪薬のたとえ:風邪の原因に効く薬はまだない。風邪薬は、熱を下げる、吐き気をおさえる、下痢を止めるなどの対症療法。自閉症もその本体に効く根治療法はまだ見つかっていない。
・現在使用されている薬(統合失調症の薬だったりADHDの薬だったりする)は、本人が苦しいとき、環境との不適合が拡大しつつあるときに用いている。
・新しい薬の開発手順:「治療」が定着するまで
・プラセボとノセボ:偽薬を飲むと、一定割合で「効果」が出る(プラセボ)/「副作用」も出る(ノセボ)!
・併存症の治療⇒自閉症とは別のものとして、併存症に対する薬を使う。
 
<カイパパメモ>
話題になっているオキシトシンは、身体の中にあるホルモンのひとつ。既に製品化された薬があり、子宮収縮薬や陣痛促進剤として用いられている。
現在、東京大学、金沢大学、名古屋大学、福井大学が共同で行っている「自閉スペクトラム症へのオキシトシン経鼻スプレーの臨床試験」は、薬の「治験」でいうと第2相「少数の患者を対象に効果、安全性を調べる」段階に似ているが、「治験」そのものではない。
オキシトシンに期待されている効果はこちらのページ参照

(3)家族や支援者はどのように医療と付き合っていくのがよいのか
・医療とのつきあい方
 ⇒医者は診断のために優先的に使う。診断は、「支援の入場券」となるから。少しでも早く、一人でも多くの初診を。
・医療を利用するコツ
 ⇒医師を絶対視しない。
 ⇒診療時には、現状のアセスメントと行なっている対応や効果を簡潔に伝える(分量は、A4 2枚が限界!)
 ⇒薬物療法に過大な期待をしない。かといって、過小評価もしない。
 ⇒医師は、長期的な見通しは得意。短期的な対応は苦手。

<カイパパメモ>
吉川先生は、「医者は、成功するための方法を実はよく知らない。なぜなら、症状がよくなったら医者に来なくなるから」と言っていました。たしかに。しかも、自分のところに来なくなったからといって、治療がうまくいったとは限らない(他の医者に変えたかもしれないから)。
そのかわり、多くの患者を診てきた経験がある。将来、どのような状態に成長していくか、といった見通しは得意。そして、どんなことで失敗するかをみてきているので、失敗しないための方法は知っている。そうお話されていたのが印象的でした。

次回は、「聞きたい、知りたい医療Q&A」の報告です。

<全3回連載>
【報告】『医療と上手に付き合う方法~自閉症・発達障害に対して医療は何ができるの?』開催レポート(1)←今回
【報告】『医療と上手に付き合う方法~自閉症・発達障害に対して医療は何ができるの?』開催レポート(2)
【感想】『医療と上手に付き合う方法~自閉症・発達障害に対して医療は何ができるの?』開催レポート(3)

【開催報告】プロジェクト部 おやおや交流会

2014年11月2日に、おやおや交流会を開催しました。こんなドキッとする告知がされていました。(告知記事はこちら
仕事がキツかった日に限って、子どもの学校で問題発生。懸案がイッキに押し寄せてきても、体はひとつ。家でついつい仕事のことを考えていて、パートナーの話には上の空...

「ちょっと、話聞いてる?」

こんな経験のある悩める親のみなさん、おやおや交流会で話し合って、ちょっぴりでもスッキリしませんか?
企画段階でいろんなドキドキがありながらも迎えた、おやおや交流会の日。いろんな立場の17人が集まりました。
思っていた以上に自己紹介が盛り上がり、参加された皆さんからのこの会への思いが伝わってきます。
どんなことを考えながら会場へ来たのか、今回参加に至った経緯、自身の家庭のこと……ひとりずつ話しているうちに予定時間となり、そのあと父親と母親それぞれのグループにわかれて、話をしました。

話し合いは、親たちだけではなく、専門家やつぼみのペアレントメンターからも経験談やアドバイスをもらいながら進めました。そうすることで、考え方や意見の多様性を取り入れられます。

わたしが参加した父親グループの様子はというと、父親たちは反省することも多く、母たちの偉大さを改めて痛感。日ごろ子どもと関わる時間が短いなかで、父親が子どもの気持ちに寄り添うために、どう行動すればいいのかを話し合い、仕事に追われながらも、ともに子育てする時間をどう作るかのヒントを、一緒に話し合った仲間からもらいました。

そのあと話し合いの結果を全員で共有したのですが、お母さんたちの考え、お父さんたちの思いが交錯しながら、いろんな意見や普段パートナーに伝えられてなかったことが出てきました。こうやって当日の話を振り返ると、男親と女親それぞれの考えにはずいぶん隔たりがありますが、こうやって話しをすることで、パートナーへの理解が少しずつ進みます。当日出た話を、少し挙げてみましょう。
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・子の学校行事や診察に夫が来ない。無関心さや温度差を感じる。それが積もると、夫への「諦め」にいきつくのではないか(母親グループ)
・「わからないことは聞いてほしい」と妻は言うが、聞くと怒るので聞きづらくなる(父親グループ)
・仕事の忙しさに配慮していても、夫は気づいてない。気づかないくら忙しいのかなぁ?(母親グループ)
・本人と関わる時間が絶対的に短く、母親ほど子どものことがわかっていないと自覚している(父親グループ)
・子育ては夫が「手伝う」のではなく、「一緒にやるもの」では?(母親グループ)
・子との関係や理解を深めるためにも、父と子1対1の時間をどう作っていくのか考えていきたい(父親グループ)。

身につまされる現状把握と振り返りをしながらも、どうすれば子どもがハッピーに暮らせるいい家庭が築けるのかのヒントが得られたからか、多くの参加者がスッキリした表情で交流会を終わられました。

「ウチに帰ったら、パートナーに『ありがとう』を伝えよう」、「いままで何気なく言ってた一言が、こんなにパートナーを傷つけていたのか」などなど、交流会の2時間を総括し、会が終わった後も話が尽きることはありませんでした。

子どもと近い距離で見ている母親、ずーっと先のことをながめている父親、そんな様子が当日の話からみて取れましたが、こうやって互いの思いを話し、書きだすことで、何が出来ていて、何が足りないのか、どこがすれ違っているのか、少しずつ見えてきました。

時間がもう少しあったらよかった、いろんな地域でやってほしいなどのご意見も頂きましたので、これらを反映し、次回を企画したいと思います。
今回参加を見送られた方、次回参加してみようと思われた方、つぎはぜひご参加ください!
(プロジェクト部 奥村達志)

【開催報告】プロジェクト部 第3回企画会議

2014年9月13日(土)に、刈谷市でプロジェクト部企画会議を開催しました。(告知記事はこちら
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今回が3回目となり、プロジェクト部のキックオフから半年が経ちました。参加者14名のうち2名の方が今回初参加。1回目から間1回空いて来てくれた方もいます。毎回、人の輪・和がひろがっていくのは、とてもウレシイことですね。
プロジェクト部は、メンバーがそれぞれ「やりたい」と思うプロジェクトを提案し、みんなで実現していく活動をしています。企画会議は、プロジェクトの提案や感じている課題を当事者、親、専門家の壁をなくして話し合う場です。
今回は話し合ったことを報告しますね。今回、新規の企画提案が3件と盛りだくさん!

1)おやおや交流会
11月2日のおやおや交流会にむけ、準備の進捗状況報告ののち、当日話すテーマや交流会の進め方について、話し合いました。参加者のプライバシーに配慮しつつ、父親と母親が互いに対し何を期待しているのかを話しあう場を、つくっていきたいと思います。

2)障害をもつ本人を中心にした「成年後見制度」勉強会
新たな企画の提案です。後見の現場のお話を聞かせていただき、具体的事例をディベートの手法を使って議論し、参加者で振り返り共有するという内容で、来年1月の実施にむけて進めていきます。

3)「若いパパ・ママ向け語り場」の提案を入り口に話し合いました
(1)必要な情報へのアクセスのしづらさ、(2)子の年齢層を超えた親どうしのコミュニケーションのしづらさ、(3)「何が分からないのかが分からない」若い親たちへの情報提供方策、という3つの課題が見えてきました。今後勉強会を立ち上げて取り組んでいくことになりました。

4)医療と上手に付き合う方法
セミナー実施に向け、意見交換をしました。薬の話に加え、療育的な取り組みの重要性、主治医の必要性と役割、「我々が医療に求めていることと医療ができることは何か」が知りたいなど、さまざまな意見が出ました。
11月16日のセミナー開催に向け、今後企画を詰めていきます。

最後に、権利擁護班・教育班・交流班にわかれて話し合いました。どれも聞きたい内容ばかりで、体が3つあるといいなぁと、ほんとうに思います(笑)。もう少し話したいなと思ったところで3時間が過ぎ、気が付けば終了時刻でした。

今回、「プロジェクト部って,どんなことをするの?」という問いかけをいただきました.
プロジェクト部は、何もないところから、考え、創り、行動していきます。ですから、名前だけを聞いた方にはわかりづらい部分があるのかもしれません。自閉症や発達障害の人が「しあわせ」になれる何かをしたい、その思いが少しでもあれば、ぜひプロジェクト部の輪に飛び込んでみてください。
親だけでなく、本人・支援者の仲間がいて、支えてくれます。今回は、とくにそれを感じることがありました。
回を重ねるごとに大切な仲間がいることを実感しています。

興味を持っていただけたなら、まずはプロジェクト部のfacebookページまでアクセスを。
現在温めている企画も、順次繰り出していきます。プロジェクト部のこれからに、ご期待ください。
(プロジェクト部 奥村)

【開催報告】つぼみプロジェクト部企画会議 in 豊橋!

愛知県自閉症協会・つぼみの会プロジェクト部の企画会議 in 豊橋を開催しました。(告知記事はこちら
今回は、14名が集まりました。5名の方が初参加でした。これもうれしかったです。

タイムテーブルはこんな感じです。
<前半>
1 チェックイン(自己紹介)
2 プロジェクト部紹介
3 6月8日権利擁護入門勉強会ふりかえり(4への導入)
4 能力に応じた教育を受ける権利グループワーク
休憩
<後半>
5 新企画ワークショップ
(1)新企画提案を提案者がプレゼン
(2)企画ごとに話し合いたい人が集まり、会議
 ・おやおや交流会
 ・権利擁護
 ・教育(4に引き続き)
(3)全体共有
6 次回の日程のアナウンス(9月にやります)
7 チェックアウト(今日の感想)

写真日記風に紹介♪

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名古屋から新幹線に乗り込み

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田園風景をたのしみ

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お約束の豊橋カレーうどん!うどんの中にとろろご飯が!?うまー

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前日まで資料作ってたから、会場のコピー機でせっせと印刷

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豊橋市民センター大会議室広い!でも安い!名古屋の大体5分の1のお値段

前半は、「能力に応じた教育を受ける権利」の実現についてを全員で議論。
このワークはどこへ向かうのか?ハラハラドキドキで、ライブ感に満ちて、全員がゴール目指して力を合わせていく一体感にしびれました。
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その子に合った教育を受ける権利をどのようにして確保するか?花島さんが体験を基に、現状を端的に分析し課題を明らかにします。

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トリガーワードは「教師を育成しようにも、センスの有る無しがある。ここでいうセンスとは何か?」
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学校の先生の「子どもの能力、特性を見極める力」の向上には何をしたらよいか?
参加者の意見をこうままさんが板書しながらまとめていきます。お見事です!
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今回の成果。ここに知恵がつまっています。

今回、親だけではなく、現役の教師、福祉関係者、元市会議員など多様な経験を持つ方々が参加し、真剣に話し合えたことが大きかったです。視点が異なっていて、新鮮な気づきがありました。
教育のパートは、わたしは流れに任せて参加していました。場を信じて任せるって、ステキです。
この場にいる人たちは皆「来るべきして来た人たち」だから、化学変化の起きるライブ感。全員が、一点に集中していく感じ。鳥肌が立ちました。

こうままさんのレポートはこちら。

・こうくんを守れ!!!:一体感
http://koumama.seesaa.net/article/401626097.html

後半は、新企画の提案です。
Facebookグループ「プロジェクト部メンバーズ」で募ったアイデアをカイパパから紹介した後、親どうしの経験共有の場づくり「おやおや交流会」の企画提案です。
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おやおや交流会企画のきっかけbyらじおっくん

前半のボリュームが大きかったため、新企画の話し合いの時間はわずか10分間しかとれませんでしたが、有意義な意見交換が行われました。
(1)おやおや交流会班では、「最初からいきなり本題ではなくて、インタビューゲームなどで参加者がお互いを知り合う時間をとるといいね」など具体的なアドバイスが得られました。
(2)権利擁護班は、セミナー、勉強会企画の目的・ゴールはどこにあるのか?つぼみの会ならではの権利擁護プロジェクトは何か?使命について確認をしました。
(3)教育を受ける権利班では、現役教員の方との相互的な意見交換ができました。

わかってるんです、プロジェクト部の企画会議に参加するって、ものすごくハードルが高く緊張するってこと。
だからこそ、参加してくださる方を、「管理」するのではなく、信じて、一緒につくりあげていける。
誰かが困ったら、誰かが立ち上がり助ける。わからなくなったら、みんなで考える。時間がなくなったら、手分けして片付ける。

会の初めのチェックインの時のみんなの緊張した表情と最後のチェックアウトの時の晴れ晴れしたカオのコントラストに、いつも感動してしまいます。

今日わたしたち14名は、一緒に「今ここにしかない場」をつくりあげました。
次回の企画会議は9月に開催します。よかったら参加してみませんか?

お楽しみの懇親会パート♪

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イングリッシュ・パブ「BROWNS」素敵なお店でした。

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花男子がお迎え(嘘)※この花男子は豊橋駅にいます。

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腹の底から笑い、本音でトーク。プライスレス

権利擁護の取組みへのヒント【又村あおいさん語録】

2014年6月8日に開催した愛知県自閉症協会・つぼみの会主催「権利擁護入門勉強会」(報告記事)において、カイパパが印象に残った又村あおいさんの発言のメモです。
脳みそテープによる語録なので、理解不足や誤解もあると思います。文責はあくまでもカイパパにあります。

<又村あおいさん語録>
■プロジェクト部のコンセプトについて


プロジェクト部のコンセプトを聴いて、感銘を受けた。
「やりたい人が目的を持って集まり、やって、解散する」
こういった柔軟性をもたせた活動が、全国の親の会組織で、なかなかできていない。

■親の会が「権利擁護」の旗を掲げることについて

従来、育成会でも顕著だったのが、「学校卒業後の行き場」をつくるために親たちがしゃにむに頑張ってきた。それは、社会資源があまりにも少なかったから。
現在は、(まだまだ不足しているが)一定の社会資源が整ってきた。
親の会のアイデンティティが問われる時代になってきている。
自分の知る範囲では、欧米、特に北欧では、親の会は、権利擁護(Advocacy)しかやっていない。家族・当事者として、権利擁護の取り組みだけをやっている。


■「自立トラップ」について

権利擁護は「その権利は誰のため?」を考えることが最初に来なければいけない。「親の権利」を「本人の権利」より優先していないか? 20歳以降は法律上「成人」となり、親とは独立の法人格を認められている。その意味にどれだけ自覚的になれているか不安がある。

そんななか、権利擁護が、「○○をするべき」と規範的な指導として進められるのは問題。
たとえば、「30歳になったから一人暮らしすべき」だとか「25歳なんだから働くべき」だとか。

そもそも、社会一般の「規範化」そのものが、障害のある人の暮らしにくさにつながってきたのではなかったか。にもかかわらず、権利擁護と言いながら、この「規範化」を強化する方向に進むと、たいへん息苦しいものになってしまう。

もちろん、自閉症の人が、社会の中で生きていくために、規範(ルール)を守ることは求められるし、心持ちの悪い人から身を守るという最低限の安全は求められるが…。

「その権利は誰のため?」を問い続けることが必要。
「ベスト・インタレスト」(本人にとって最もよい選択)と呼ばれる。
失敗すること、愚かな行いをすること、働きたくないことや親元から離れたくないことも、本人が望んでいる場合がある。にもかかわらず、「規範」によって、「自立とはこうあるべき!!だから○○しなさい」と無理やり押し付けてしまう──それが「自立トラップ」

■マイナス状態をゼロにする権利擁護から、ゼロからプラスの状態に持っていくための意思決定支援

権利擁護が前面に出てくるのは、「権利が侵害されたマイナスの状態をゼロに戻す」ときが多い。その時には、他人の権利とぶつかっている。誰かに被害を与えてしまったり。

しかし、それだけではない。意思決定が難しいひとの意思決定を支援する取組み。
幼い頃から「選択」の経験をつみ、「選択する能力」を育てていくことが重要。ゼロからプラスの状態に持っていく権利擁護も考えていきたい。

【開催報告】又村あおいさん「権利擁護入門勉強会」レポート

2014年6月8日にプロジェクト部の第1回企画「権利擁護入門勉強会」を開催しました。今回は、36名の方が参加されました。(告知記事はこちら
講師の又村あおいさんが、「やりたい人がやりたいことを持ち寄って、プロジェクトをやり、終わったら解散する活動は、とても良い。期待しています」と冒頭からプロジェクト部に対して何度もエールを送ってくださったことに、とても力づけられました。
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勉強会は、まず、又村さんの今回のグループワークの枠組みを与えるための、30分間の密度の濃い講義から始まりました。「権利擁護」が障害者基本法、障害者虐待防止法、障害者差別解消法、障害者総合支援法でどのように記述され、保障されているかを概観できました。

権利擁護を考える時に、言葉の定義から学ぶより、実際に起きている権利侵害を取り上げて考えたいという問題意識から、事例を使ったグループワークを行いました。
事例は、プロジェクト部メンバーの手作りです。又村さんからは「今日の事例は6つあるが、6グループに分かれてしまうのがもったいないぐらい、暮らしに近いリアルな事例。今後一つ一つをじっくり深めていくこともよいと思う」という過分なるお言葉をいただきました。

 以下の6つの事例です。
・事例1:「障害者(知的・自閉症)、児童のための入所施設」
・事例2:「能力に応じた教育を受ける権利」
・事例3:「知的障害者の「万引き」「暴行」と取り調べ、逮捕」
・事例4:「触法障害者の受刑終了後の地域復帰」
・事例5:「グループホーム入居者のくらし」
・事例6:「不要な携帯電話契約をしてしまった」

「誰の」「どんな権利が」「どのように」侵害されているのか?を発見し──
「誰が」「どのようにして」「権利を救済」するのか?──
 そもそも権利侵害が起きないための「予防」はどうしたらできるのか?

 を考えました。
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事例2:「能力に応じた教育を受ける権利」

全体で話し合った内容を共有し、それに対して又村さんが的確な講評をつけてくださいました。
結論はこの場では出ませんが、方向性とこれからも継続して勉強していこう!という気持ちが生まれました。
プロジェクト部では、様々なプロジェクトを「やりたい人が持ち寄る」かたちで進めていきます。関心を持っていただけるとうれしいです。

父親部の発展的解散と「プロジェクト部」新設のお知らせ

プロジェクト部のブログをオープンしました。タイムリーな情報はFacebookページで発信し、記録として残していきたいものはブログで記事にする、そんな使い分けをしていきたいと考えています。

最初の記事は、2014年4月に愛知県自閉症協会の会報に掲載した「プロジェクト部新設のお知らせ」です。あの時には、メンバーが集まるだろうかと不安だったことを思い出します。(カイパパ)
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プロジェクト部写真
2003年に愛知県自閉症協会のなかに父親部が設立されてから、丸11年が過ぎました。自閉症を取り巻く環境、親の会を取り巻く環境も、当時とは大きく変化をしています。

当初、父親部は、「母親たちに比べて、出会う機会が少ない父親たちが集まれる機会と場を提供する」ことを目的に設立されました。活動の中から、父親の視点での「働く」をテーマにした講演会の企画や就学相談会などを実施してきました。

しかしながら、11年間活動してきて、父親部メンバーの固定化、「父親」と限定したことによる限界を感じずにはいられません。一方で、親の会に期待される役割は、より多様かつ高度なものになり、活動の必要性は高まっています。

そこで、父親部を発展的に解散し、「プロジェクト部」という新しい組織を、愛知県自閉症協会・つぼみの会の中に立ち上げることといたしました。詳細につきましては、総会においてご説明する予定です。

プロジェクト部は、
「父親も母親も、本人も、きょうだいも、そして支援者たちもメンバーとなって、
自閉症・発達障害の人たちとともに、しあわせな暮らしを実現するために、
様々な取組み(プロジェクト)を行っていく」組織です。

 プロジェクト部では、たとえば、

・本人の権利を守る(権利擁護)の仕組みや現実の救済
・本人が地域で暮らし続けるための制度やサポートの整備
・学校教育が、本人の発達を助け、成長を導くものとなること
・仕事に就き、働き続けること
・親の経験の共有や親と支援者との交流 

 などなどを実現するための様々な取り組み(プロジェクト)をしていきたいと考えています。

志は壮大なのですが──どれもまだ構想段階です。いきなり大きなことはできません。やりたいと思った人が手をあげて仲間を募り、プロジェクトをひとつずつ、一歩一歩、力を合わせて取り組んでいきたいと思っています。

まずは、プロジェクト部をオープンな組織として立ち上げ、「親の会だからできる活動」の担い手になりたいメンバーを募ります。

愛知県自閉症協会の会員(賛助会員含む)であれば、親も、本人も、きょうだいも、そして支援者たちも、どなたでもプロジェクト部のメンバーになれます。

情報発信を「プロジェクト部@愛知県自閉症協会・つぼみの会」Facebookページで行っていきます。ぜひチェックしてみてくださいね。

https://www.facebook.com/tubomiproject
プロフィール
ギャラリー
  • 【1月29日開催】医療と上手に付き合う方法〜自閉症に対して医療は何ができるの?2017 in 岡崎
  • 【12月10日豊橋開催】明石洋子さん・徹之さん講演会
  • 8月27日開催【教育セミナー】みんなで考えよう 先生と保護者の上手な合理的配慮のはじめ方
  • 【報告】7月2日 医療セミナー「医療と上手に付き合う方法」
  • 【報告】7月2日 医療セミナー「医療と上手に付き合う方法」
  • 【報告】7月2日 医療セミナー「医療と上手に付き合う方法」
  • 【7月23日開催】スーパー又村塾@つぼみの会 どう使う?障害者差別解消法
  • 【7月23日開催】スーパー又村塾@つぼみの会 どう使う?障害者差別解消法
  • 【7月2日開催】医療と上手に付き合う方法2016 in名古屋